ささえ合い交通ブログ

5月26日は運行開始1周年-実績等をプレスリリース

 2017年5月26日(金)は、運行開始から1周年を迎えました。この1年間の運行実績や思いなどをプレスリリースとして、以下のように配信しました。

【プレスリリース】2017 年 5 月 26 日

NPO法人 気張る!ふるさと丹後町
Uber Japan株式会社

NPO法人 気張る!ふるさと丹後町が京都府京丹後市で運行する

「ささえ合い交通」が1 周年を迎えました

 NPO法人 「気張る!ふるさと丹後町」(京都府京丹後市、理事長 村上正宏)が運行する「ささえ合い交通」は、 Uber(本社:Uber Technologies 社(米国カリフォルニア州)/日本 (Uber Japan 株式会社):東京都渋谷区、執行役員社長 髙橋 正巳、以下: Uber)のアプリベースの ICT システムを活用した「公共交通空白地有償運送」として 、2016 年 5 月 26 日に運行開始してから 1 周年を迎えました。

 「ささえ合い交通」は、京都府京丹後市丹後町という人口 5,392 人*で、そのうち 65 歳以上の高齢者が 4 割以上  の地域で運行しています。過疎化による人口減少により、公共交通サービスの継続が十分にできなくなり、そのため利便性の高い交通手段として地域の方々の足となるべく運行しています。テクノロジーを活用して地元の住民が既に保有する自家用車(マイカー)を有効活用することにより、新たな財源を投入する必要がなく、また地域住民が空いた時間に自らドライバーとして参加することにより、持続可能なサービスの確立を目指しています。*出典:京丹後市長寿福祉課(平成 29 年 4 月 1 日現在)

 ここ1年の間、「ささえ合い交通」は地元の方々の足として活躍してきました。毎月平均 60 回以上乗車していただいており、特に平日の午前中にご利用いただくことが多く、日常使いだけでなく観光の足としてもご利用いただいています。これまでの合計走行距離は 6,754 km となり、地球の赤道半径以上、丹後町からオーストラリアまで行ける距離となりました。

 全乗車の約 8 割が地元の方のご利用によるもので、スーパーや病院、役所などが集まる峰山町や網野町などへの日常的なご利用が多く見られ、「病院や知り合いの家に行くのに利用しています。一人で外出できたので嬉しかったです」 などと喜ばれています。高齢の方にはバス停までの距離までもが遠く感じる方も少なくなく、「玄関先まで来てくれるのが嬉しいですね。通院したり近場の観光に使っています」や「タブレットを借りて自分で配車をしています」、「スマホを持っていないので、電話をかけて、代理サポーター制度を利用しています」と A 地点から B 地点をオンデマンドで移動できる利便性を実感してご利用いただいています。

 さらに、観光客のご利用も見受けられ、宇川温泉 よし野の里や自然 200 選にも選ばれている丹後松島付近などの観光目的のご利用も伺えます。「地元の人だからこそ知っているユネスコ山陰海岸ジオパークや日本遺産に認定された丹後ちりめん回廊など京丹後のおすすめスポットを周って楽しんでいただきたいです。2020 年のオリンピックを見据えて、日本人だけでなく外国人旅行者にも『ささえ合い交通』を利用した旅を提案して京丹後の観光を盛り上げていきたいです(京丹後龍宮プロジェクト うまし宿 とト屋 女将 池田香代子氏)」 など、観光を目的とした利用へのさらなる期待も高まっています。

 また、ドライバーの方には新たな社会との接点や楽しみを提供しています。22%を占める女性ドライバーも楽しんで運転しており、「普段知らない人でも地元の方というだけで自然に会話が弾み、その笑顔が見たくて協力しています」や「外国人の利用者の方を乗せた時、文化の違いがあっても景色が綺麗だと一緒に感動できたのが印象的でした」、「運行範囲が増えればもっと利用しやすくなり、高齢者の事故も解決できると思います」など、とても前向きな声が届いています。

 本運行は、地元の利用者の声に耳を傾けて提供サービスの内容を向上させてきました。2016 年 9 月には代理人に配車をしてもらえる「代理サポーター制度」を、12 月には「現金決済」を導入しました。これにより、「代理サポーター制度」を利用する人は全体の約 7 割、そして現金決済を利用する方は全体の 8 割以上と増加してきており、スマートフォンやクレジットカードをお持ちでない方も気軽に利用することができるようになっています。

 毎月着実に新規で利用されるユーザーがおり、このように一つ一つ課題を解決して地元の方々の足として確立しつつある「ささえ合い交通」ですが、未だに直面している問題があります。「ささえ合い交通」は、公共交通機関により住民に対する十分な輸送サービスが確保できないと認められる地域のみを対象とする「公共交通空白地有償運送(道路運送法施行規則第 49 条第 1 項第 2 号)」の制度を活用しています。目的地が丹後町外の場合、「ささえ合い交通」を利用して降車はできても、戻ってくる際には地域の各交通モードとの役割分担等の観点から利用ができない取り決めとなっています。全乗車の約 4 割の目的地が丹後町外であるため、「丹後町外からでも帰って来ることができれば、もっと利用します。」など、行きの片道しか「ささえ合い交通」が使えないことから、利用を躊躇されている方の声も寄せられています。こういった声を踏まえ、特に高齢者の利便性確保の観点から、市内の病院から丹後町への輸送ができるよう京丹後市や関係交通事業者の御理解をいただきたいと考えています。今後も丹後町の住民の皆様や丹後町を訪れる観光客の利便性向上のため、安全な運行に努めるとともに、地域の持続性確保のため邁進してまいります。

NPO法人 気張る! ふるさと丹後町 理事長 村上正宏は次のように述べています。

「NPO の設立当初より、公共交通空白地の住民の輸送について検討していましたが、困難な問題がある中、2014 年 7 月より京丹後市の協力を得て、まずデマンドバスの運行を開始しました。そして 2016 年 5 月、京丹後市や Uber Japan の勧めもあり、デマンドバスの問題点を克服し、さらに利用しやすいように「ささえ合い交通」の運行を始めました。過疎化・高齢化の進む丹後町において、当法人のテーマのひとつでもある「健康長寿の町」を目指し、少しでも住民が生活し易いように取組んでいます。温く見守っていただき、より良きものになりますよう引き続き皆様方のご協力をよろしくお願い致します。」

京丹後市 市長 三崎政直氏は次のように述べています。

「過疎地域における人々の暮らしや持続可能な運行のあり方など示唆に富んだ運行が行われており、社会的にも大変意義の大きい画期的な運行であると感じています。ハンドルを握る住民ドライバーの皆様をはじめ、関係者の皆様に対しまして心から敬意を表しますとともに、今後もより多くの皆さんに親しんでいただける移動手段となりますよう大いに期待しています。」

Uber Japan 株式会社 執行役員社長の髙橋正巳は次のように述べています。

「過疎化が進んでいる京丹後市丹後町では、利用者の絶対数は限定的ではあるものの、その分地域住民の繋がりや既存の資源をうまく活用することができています。その結果、地域内の移動にお困りだった方々に新たな交通の選択肢を提供することができて、とても嬉しく思います。今後も日本の様々な交通課題をテクノロジーを活用し解決するために邁進してまいります。」

(後略)